高麗人参に含まれるジンセノサイド

高麗人参は多くの栄養成分を含んでおり、特にサポニンの種類が多いことが特徴です。 これらのサポニン群のことをジンセノサイドと呼びます。

ジンセノサイドの語源は高麗人参の英語名である“ginseng”と多糖体を意味する“glycoside”を組み合わせた造語で、まさしく高麗人参にだけ用いられる栄養分の名前なのです。 通常は個別のサポニンと表現されることが通常ですが、高麗人参のサポニンであることを示すためにジンセノサイドと呼ばれています。

ジンセノサイドの種類は高麗人参の種類によっても異なります。 ジンセノサイドの多くは高麗人参の皮に含まれています。

高麗人参の加工法の違いによって白参と紅参に分けられます。 白参は皮を剥いで乾燥させたものですが、紅参は皮を剥がずに煮てから乾燥させます。 このことから、紅参の方が含まれているジンセノサイドの種類が多いため、より良質な高麗人参なのです。

栽培年数によってもジンセノサイドの含有量は変わることが確認されていて、六年目にその含有量が最大になると考えられています。 六年根の紅参が最も高級と言われるのはこの理由によります。 原産地によってもその含有量が異なり、本場韓国産のものが最も多く、中国産はその半分、日本産になると三分の一以下なのです。

一般的なサポニンは、活性酸素を抑制して老化を防止したり、免疫力を高めたり、コレステロールを調整したり、脂肪の吸収力を抑制するなどの効果があります。 一般的なサポニンを過剰に摂取すると毒性を発生し、かえって健康に害を及ぼすことがあります。

しかし、高麗人参に含まれるジンセノサイドにはこのような毒性はなく、大量に摂取しても健康を害することがないので安心して摂取できます。 このような高麗人参のサポニン群を一般のサポニンと区別するためにジンセノサイドと呼びます。

40種類以上あるジンセノサイドは3つのタイプに分類されます。 ひとつはジオール系で中枢神経の抑制力や鎮静作用があります。 二つ目はトリオール系で中枢神経を刺激し興奮作用があります。 三つ目はオレアノール系で免疫機能を活性化し、炎症をやわらげ毒素や老廃物を取り除き、肝臓機能を助ける作用があります。

この中でユニークなのがジオール系とトリオール系です。 この二つは鎮静と興奮の二律背反の働きをするのです。

人は一日の中で絶えず興奮と鎮静を繰り返しています。 例えば、自律神経には交感神経と副交感神経があって、活動時間である日中には交感神経が優位ですが、何らかの原因でこの交感神経が異常興奮を起こすとイライラや怒り、不安感と言ったネガティブな感情が先行することで情緒不安に陥ります。

このような興奮状態となったときにはジオール系が働いてその興奮を抑制する効果があります。 休んでいる時には副交感神経が優位になって日中の心身のストレスを癒して自己修復します。 このときに、何らかの原因で自律神経が興奮して不眠症のような事態となった際にもジオール系によって鎮静力が働きます。

しかし、このジオール系が優位に立とうとして鎮静力が暴走するとうつに近い精神状態となりかねません。 このような時には神経を興奮状態にするようにトリオール系が働くのです。